2012年10月27日土曜日

■「社会性」

一昨年のJFLチャンピオンSAGAWA SHIGA今年いっぱいで、
JFLからの撤退が決定。→詳細コチラ
仕事とサッカーの両立を極めるチーム。
審判への意義による警告が5年間ゼロも話題になった。
以下、スポニチ金子達仁氏のコラム。社会性って、抽象的な言葉だが、結局のところはコラムに書かれているようなこと。慶應ソッカー部(もちろん慶應BRBも塾高も)あたり前のことがあたり前にできる社会性のあるチームにならなければいけない。知らなかったでは済まされないのが、社会人の世界なんだ。
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JFL去る“社会性ゆえの強豪”

ここ数年、「サッカーはコミュニケーション・スポーツである」との思いを強くしている。
 野球であれば、それまで所属していたチームで残した成績は、かなりの確率で新天地でも通用する。勝てる投手は勝ち、打てる打者は打つ。所属しているチームは変わろうとも、選手個人が持っている能力は変わらないからである。
 だが、サッカーの場合は、点を取りまくっていたストライカーが、移籍を機にさっぱりになってしまう、といったことが当たり前のように起こりえる。メッシでさえ、アルゼンチン代表では輝けない時期が長く続いてきた。サッカーは、周囲によって個人が変わってしまうスポーツなのである。
 それだけに、自分は何をしたいのかを伝え、周囲は自分に何を期待しているのかを感じとる能力は、サッカー選手にとって必須といっていい。
 つまりは、コミュニケーション能力である。
 実を言えば、以前のわたしはこの能力をさして重要視はしていなかった。環境が変わると輝けなくなってしまう選手は、単にサッカーの才能が不足しているから――そんなふうに考えていた。
 「おや?」と思うようになったのは、JFLの試合を多く見るようになってからである。 
 目下のところ、J2の下に位置するこのリーグは、J昇格を狙うチームとそうでないチームが同居する形になっている。だが、昇格のために元Jリーガーを集めたチームのほとんどは、Jを目指さないチームを順位で上回ることができず、昇格規定に救われる形でJ2に上がって行った。立ちはだかったのは、アマチュアで構成された企業チームである。
 そのうちの一つが、SAGAWA SHIGAだった。
 率直に言って、わたしは彼らのサッカーから感銘を受けたことはない。確かに強い。安定もしている。けれども、そんなこと以上に驚かされたのは、選手たちの社会性の高さだった。会場ですれ違う見も知らずのスタッフに、彼らはきちんと頭を下げる。わたしのような他のチームの人間に対しても、積極的にコミュニケートをしようとする。Jリーガーの社会性のなさに辟易(へきえき)することもあった人間にとって、SAGAWA SHIGAの選手たちの「きちんとした社会人ぶり」は大いに新鮮だった。
 そして、おそらくはそうした社会性の高さこそが、彼らの強さの理由だった。個々の技量で勝っても、意思疎通がスムーズでないチームは勝てない――SAGAWA SHIGAは、そのことをわたしに教えてくれた。今年限りでの活動停止は、残念の一言につきる。

【所要時間:15分】今週末、勝負の時。