2012年10月9日火曜日

■「マンチェスターの悩み」

本日の日経朝刊コラム。
Jリーグにおいては、羨ましい話かもしれない。巨額のマネーが入ってくる環境、そして、何よりも地域に根差したサポータがいるということが。
もし、浦和レッズが中国マネーに買収されて、アジア各国からファンが押し寄せ、シーズンチケットが手に入らない状況になったら、地元のレッズファンは同じような行動を取るかもしれない。
※以下のFCUMとは少々異なりますが、ウィンブルドンも移転問題でチーム分裂なんて話がありました。→詳細はコチラのブログを参照

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■英国サッカーの源流 (上)
我らのクラブ 育む地域 商業主義に反発、運営参加
香川真司が所属するマンチェスター・ユナイテッドのような強豪がまぶしく輝くもとで、星くずのようなクラブが生き続けている。英国サッカーの裾野は広い。そして、そこに豊かなサッカー文化が醸成されている。 22年前、床職人のフランクさん(44)が左腕に入れたマンチェスター・ユナイテッドのマスコットの入れ墨は色が薄れてきている。実は自慢の入れ墨は右腕にある。そこには、FCユナイテッド・オブ・マンチェスター(FCUM)のエンブレムが描かれている。
入場料5割上昇
 イングランド・プレミアリーグの名門、マンチェスターUは2005年、米国の富豪、マルコム・グレイザー氏の一族に買収された。その買収と商業化路線に反発したサポーターが同年、創設し、10部リーグからスタートしたのがFCUM。「会員が所有し、運営するクラブ」をうたい文句に、今季は7部リーグ(ノーザン・プレミアリーグ・プレミアディビジョン)で戦っている。 創設の先頭に立ち、現在はゼネラルマネジャー(GM)を務めるアンディ・ウォルッシュさん(50)はかつて、マンUのファンマガジンの編集に携わっていた。1998年にはメディア王、ルパート・マードック氏の買収を、抗議デモと政治家へのロビー活動により阻止した実績を持つ。 ウォルッシュさんは話す。「サッカーがビッグビジネスになり、カネに支配されている。投資家の意見が優先され、ファンの声はクラブ運営に反映されない。ファンは一番下に置かれている」  トップクラブはスター選手を集めて戦績を挙げるとともに、売り上げを伸ばそうとするが、その分、ファンは入場料の高騰というあおりを受けている。04~05年シーズンに390~551ポンド(1ポンド=約130円)だったマンUの年間チケット代はグレイザー家の買収後、年々上がり、今季は532~950ポンド。入場料全体では平均55%アップしている。 スタジアムには海外から観光客が押し寄せ、グッズを買いあさり、いまや「おらが町のクラブ」という雰囲気はない。 FCUMの運営手法は、そうした時流に疑問を投げかけ、クラブをファンのもの、地元コミュニティーのものとして守ろうという哲学をもとにしている。 FCUMを所有する会員は2588人。そのすべての立場が平等で、議決権はそれぞれが1票しか持てない。「経営者と選手とサポーターは三位一体で、フラットな構造になっている」とウォルッシュさんは説明する。大株主が牛耳るビッグクラブとは成り立ちが違う。
利益は出さず
 経営に当たる11人のボードメンバーを選ぶのも、入場料を決めるのも会員だ。入場料の設定はクラブの運営費から逆算しつつ、なるべく低く抑える方針で、利益は出さない。今季の年間チケット代は最低90ポンドと定めているが、寄付として余分に払う人が多く、平均では160ポンドになるという。 リーグ戦の1試合平均入場者数は減少傾向にあるが、それでも今季は1749人。年間チケット保有者は1114人で、年間の総売り上げは約80万ポンドだ。新スタジアム建設の資金集めも進めている。 FCUMサポーターの大半はマンUの入場料の高騰に嫌気が差して、くら替えしている。75歳のアレンさんはこう語る。「サッカーはスタジアムに足を運んでハートで見るもの。しかし、マンUの試合を見続けるには何だかんだで年間1000ポンドも掛かる。ここなら150ポンドさ。だから、ここに来ている」 みな、今でもマンUを愛していると口をそろえる。ただ、地元ファンをないがしろにした経営方針が許せないのだと。入れ墨男のフランクさんはまくしたてる。「マンUがファンの方を向くようになったら、また試合に行ってやる。でも、FCUMと試合が重なったら、こっちに来る」
 ピッチ上では、学生や他に職を持つパートタイムの選手がファイトしている。150年前のイングランドサッカーの草創期のように、選手は文字通り、地元コミュニティーに支えられ、その代表として戦っている。両者の距離が心理的にも接近しているから、プレーにも応援にも魂がこもる。そこに英国サッカーの原型がある。
-----------日経電子版 便利です。


ついでに、本日の日経朝刊に以下コラムを発見。
正直、このコラム、何が言いたいのか、全くわからない。
相撲は心技体を鍛える素晴らしいスポーツである。ということが言いたいのだろうか。だったら、OBのコネがどうのとか、書く必要ないのに…。OBのコネが無くなったら、インターネットでの募集要項に変更になったら就職できなくなってしまう学生しかいないって、寂し過ぎる…。そもそも、OBのコネって表現自体、適切ではないと思う。コネクションだけで、就職出来る時代って、いつの時代のことなのだろうか。4年間相撲に打ち込んで、そこで何を学んだのか?組織の中での自分の役割を認識し、その役割を全う出来る力があるかどうか。それが重要なだけ。
ちょっと残念だ。

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■スポートピア 相撲で精神鍛えよう 中島隆信
残暑厳しい9月のある週末、慶応義塾体育会相撲部を訪れた。現在は慶大生5人、慶応高生2人の部員が在籍している。築40年の道場は「3LDK」だが、そこでのDとは土俵のことだ。四股、すり足、テッポウでたっぷり汗を流したあと三番稽古と申し合い。壁には「心技体」の書が掛けられ、緊張感漂うなか部員たちのかけ声が響く。 大正8年(1919年)創設の慶大相撲部は現在2部リーグ所属だが、かつて全国大会で優勝した経験を持つ。大相撲との縁も深く、春日野部屋とは横綱栃木山が師匠のころから親交があり、部員たちがよく出稽古に通ったという。実際、部屋付きの元竹縄親方(元幕内鳴門海)が日本相撲協会を退職した後、師範を務めたこともあった。
 昨年、皇風が早大出身として78年ぶりに十両に昇進し話題を集めたが、秋場所の幕内力士のうち大学相撲出身者は11人で、2004年のピーク時からほぼ半減した。出身大学では、日大の黄金時代は去り、今は日体大の3人が最多で、ほかに明大、駒大、専大、東洋大などバラエティーに富む。こうした変化の背景には近年の大学生の就職事情がある。 相撲の強い高校生がプロ入りか大学進学か選ぶとき、進学のメリットは就職という道が残されている点だ。学生横綱のタイトルをひっさげてのプロ入りという夢を追いつつ、OBのコネで企業に就職もできる。ところが、コネ頼みは通用しなくなりつつある。新卒採用にあたり、企業は以前にも増して学生の総合的な能力に目を向けるようになり、「4年間相撲に打ち込んだ」というだけでは採用は難しい。さらに、ネット利用で応募者が激増したため、適性試験で選抜する企業が増え、面接にすら届かない学生も多くなった。もはや「名門相撲部に入ったから安泰」ではないのだ。 プロと同様、大学相撲部も入部者の減少は深刻だ。「わんぱく相撲」は人気を保っているが、中学生になると、人前で尻を出すことの抵抗感や子どもが力士になるのを不安視する親の意向もあって大半が相撲をやめてしまう。競技人口を増やすには、少年たちをつなぎ留めることが肝要だ。 締めのぶつかり稽古が終わり、目を閉じて蹲踞(そんきょ)の姿勢をとる部員たちを見て、私の心は涼風が吹き抜けたようなすがすがしさで満たされた。相撲好きという一心から稽古に励む学生の姿にはプロとは一味違う美しさがある。徹底して下半身を強化する相撲の稽古は、辛抱強さと精神の安定を育むのだ。 本年度から中学校で武道とダンスが必修化された。これを契機にプロとアマは一致団結して精神鍛錬としての相撲の利点をもっとPRすべきだろう。ここ数年来、不祥事に泣かされ続けた相撲協会が汚名を返上するまたとないチャンスといえる。(慶応大教授)
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【所要時間:25分】
慶應相撲部が大学5人しかいないとは知らなかった。