以下、山本昌邦氏のコラムを一部抜粋。
W杯優勝国は、全て自国の監督だったかと。
最近は選手生命が伸びたことで、有望選手の監督就任が遅くなる傾向があるらしい。ファーガソン、モウリーニョ、グアウディオラ、37歳で監督就任している。今の自分の年で監督できるか…。
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■W杯優勝国は、すべて自国の監督に率いられたチーム
選手が一番伸びるのは、自分で長所や短所に気づき、それをどう伸ばしていくか、どう埋めていくか、自分で考え始めた時だ。聞く耳を持つようになるまで、じっくり説得するのは骨の折れることではあるが、自分で得心がいって前向きになれた時、人はすごいエネルギーを発揮する。
そういう引き上げるタイミングとか、その機をとらえて選手の求める刺激を的確に与えられるかどうかは、経験がないと難しい。そういう過程を「あの選手はこうやって伸びていったな」「チームはこうやって強くなっていったな」と体験的に学べるのは、どうしたって現場だけなのである。
このコラムを読んで下さっている方は、過去のW杯優勝国は、すべて自国の監督に率いられたチームだった、という事実をご存じだろうか。外国人監督が代表チームを率いてW杯に優勝した例は一つもない。ブラジルもイタリアもドイツもアルゼンチンもウルグアイもフランスもイングランドもスペインも、みんな同じ言語を共有する監督と選手で頂上を極めた。
思うに、W杯のようなシビアな戦いになると、勝敗を分けるのは本当に小さなディテールの部分になるのだろう。
■外国人監督を減らせと言いたいのではなく…
■外国人監督を減らせと言いたいのではなく…
上に勝ち進めば進むほど空気は薄くなっていき、一歩、足を前に運ぶのも大変になってくる。そういう過酷な状況でチームを一つにまとめ上げながら頂上にたどり着こうとすれば、同じ言語や文化を共有する者同士のコミュニケーションが最後はモノを言うのかもしれない。なでしこジャパンが男子より一足先に世界の頂点に立てたのも、佐々木則夫監督という希代のコミュニケーターの存在抜きに語れないだろう。誤解してほしくないが、私は「だから外国人監督に代表を任せるのは間違っている」とか「Jリーグから外国人監督の数を減らせ」などと言いたいのではない。
私のコーチ修業にオフトやトルシエ、スコラリ(現ブラジル代表監督)、ビラルド(元アルゼンチン代表監督)の4氏らが施してくれた果実は計り知れないものがある。日本サッカーがいくら強くなっても、外国の監督やチームや選手から学ぶことは決して尽きない。外との交流を閉ざし、切磋琢磨(せっさたくま)をやめてしまったら途端に奈落の底に落ちるのがサッカーの世界である。むしろ今よりもっと往来を盛んにしてほしいくらいだ。
■若い気鋭の日本人監督いでよ
私が強調したいのは、代表監督を日本人にしないとW杯に勝てない、ということではない。過去の事実を顧みて、優勝を狙わせるに値する日本人監督に早く出てきてほしい、ということである。幸いなことに、今の日本の選手の経験値はどんどん上がっている。W杯に出た、だけではなく、W杯で勝った選手も、W杯で点を取った選手も、ヨーロッパのビッグクラブで活躍する選手もいる。それは見方を変えれば、素晴らしい指導者予備軍がどんどん増えていることを意味する。こう語る今も、日本で、外国のどこかで、森保監督のように研さんを積んでいる日本人コーチがきっといる。そういう中から、あるいは指導者予備軍の中から、いつか必ずW杯優勝を託すに足る日本人指導者が出てくるだろう。
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