以下、日本経済新聞より抜粋。ボランティアってのは響きは良いが、明確な責任が伴わないケースが多く、持続可能な活動が難しい。ケツをまくられても、誰も文句は言えないし、言う権利も無い。ソッカー部についても、長期的戦略が必要。学生主体の運営をサポートする体制、専属コーチの雇用体制、やるべきことは、ピッチ外でも沢山ある・・・。
(Sports Frontier)企業ノウハウで組織強化早大スキー部、古豪復活 長期的戦略が奏功 資金確保に課題残る 2月16日 日本経済新聞 朝刊
早大スキー部が大学運動部として異例の強化態勢で成果を挙げている。特にノルディック競技はここ数年、バンクーバー五輪に出場した複合の渡部暁斗(4年)、クロスカントリー女子の柏原理子(2年)ら日本代表選手を次々と輩出。背景を探ると、大学スポーツが抱える課題が見えてきた。 早大は今春、フィンランド中部にあるノルディックスキーのトレーニング施設「ボカティスポーツ」と近隣のユバスキュラ大学と3者協定を締結する。「世界を目指す選手をさらに強くする環境がこれで整う」と、早大スキー部の倉田秀道監督は期待する。 同施設とユバスキュラ大学はノルディックのフィンランド代表チームへの医科学サポートを担う、その道では知られた拠点。今後は早大選手もォーム・動作解析、トレーニング効果の分析など同様のサポートが受けられる。また、大学の単位交換によって、学業と両立して長期のフィンランド合宿も可能になる。 2年前の夏からスキー部がボカティスポーツで合宿をしていたことが、両大学の提携につながった。海外合宿は経費がかさみそうだが、施設と協定を結ぶなど知恵を絞り、国内合宿とさほど変わらない負担に抑えてきたという。 1920年創部の早大スキー部は、2007年に学生王者に40年ぶりに返り咲いた。今季は世界選手権や冬季アジア大会、ユニバーシアードなどに計13人の日本代表を送り出した。18日に開幕する学生選手権(秋田・鹿角市)は、同校初となる男女アベック優勝を目指す。 あいおい損害保険(現あいおいニッセイ同和損保)で市場開発などを担当、トヨタ自動車へ出向した経験もある倉田監督が03年に就任し、企業で実践してきた組織運営、強化の手法をスキー部に取り入れたことが、古豪復活のカギだった。 学生任せだった練習は種目ごとに6人のOBをコーチに選任。監督は有望選手をスカウトしてチームを編成、生活面を含めて全体をマネジメントする。一人ひとりに目標設定シートを作成させ、自由な発想で練習環境を最適化した。 倉田監督は言う。「学生スポーツでは、ゲームの戦略は考えても、組織やチーム作りの長期的戦略を語る指導者はほとんどいない」。組織強化から意識することで、早大スキー部の戦績は着実に上向いた。
とはいえ、課題は残る。倉田監督は06年に会社から出向が認められ有給の専任指導者となったが、6人のコーチは今もボランティア。早大に限らず、大学運動部の大半の活動は、OBの協力や寄付が頼みだ。強豪校のラグビーや野球、駅伝など花形を除けば、どこも運営は厳しいようだ。 企業スポーツの衰退で、受け皿としての学生スポーツへの期待は高まっている。だが、ほとんどの大学運動部は、知名度向上のため目先の勝負を優先せざるを得ず、世界を目指すアスリートを育成する余裕はない。倉田監督は、安定した資金確保のため、大学運動部が連携してのマーケティング活動なども進めたいとしている。(編集委員 北川和徳)
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