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以下も興味深い。
「4人でボールを動かそうとすることは、実は難しい。高度だからこそ難しいとも言える。本来であれば、ボールを持った選手が少しでも多くの選択肢を持つことが望ましいわけだから、3人ではなく4人でボールを動かすほうが優れた方法と言える。だが、そこに落とし穴がある。ピッチ上にスペースが少ない状況では、より素早い判断が求められるが、選択肢が多ければそれだけプレーを選ぶのが難しくなり、判断が遅れてしまうんだ。だから我々は、まず3人でボールを動かす意識を持ち、4人目は、『3人でボールを動かして相手を引き付けた時に生まれる逆サイドのスペースを受け持つ』という《ルール》を設けているし、そういう練習メニューも用意している。ビエルサがやろうとしているのも、基本的にはそういうことだ。すなわち、チリ代表の攻撃における戦術の軸もそういうプレーになる。ボールを3人で細かくつなぎ、大きく開いたスペースにいる4人目に展開する。互いに打ち合う南米のサッカーでは、これは大いに機能する。ボールを奪った際、相手陣内に大きなスペースが広がっているんだからね。だが、バルセロナや(レアル)マドリー、そしてスペイン代表に対する相手は自陣深くに下がっているから、必然的にその4人目に広いスペースは与えられない。そういう時は、ボールに近い位置にいくつもの三角形を作る意識を持ったほうがプレーの精度が上がる。その意識の違いが、チリ代表とスペイン代表のスタイルの差とも言えるだろう」
少し専門的な話になって分かりにくい部分もあったかもしれない。実際、私もグランデの前ですっきりしない表情をしていたのだろう。グランデはこう付け加えてくれた。「三角形、四角形だと言ってはいるが、要するに、どちらもボールを保持し、そこからフリーになっている選手にボールを送ることを目的としているに過ぎないんだよ。時計の中では様々な部品が様々な役割を果たし、その結果、我々は針が動くところを見る。それと同じだ。重要なのは針が動くかどうかだ」。
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【所要時間:20分】誰がバルサを倒すのか。