2010年10月26日火曜日

■「スポーツは社会貢献」

10月26日 日経朝刊 スポーツ面コラム「スポートピア」
湘南ベルマーレ社長真壁氏のコラム。
親会社や自治体だけに頼らないチーム運営とは…。
真壁氏が言うように、スポーツのステータスを上げないとダメだ。そのためには、スポーツが教育にどう役に立つのか、スポーツを通じた人間形成、リスペクトされるアスリートが沢山出てこないと。


--以下 コラム抜粋
 ただ、バブル崩壊で企業スポーツの休廃部が相次いだ12年前も不景気が続く今も、スポーツに冷たい風が変わらず吹いているのは悔しい。

地域密着を理念とするJリーグは子供たちの育成やサッカー以外のスポーツの振興をお手伝いしてきた。まさに地域の一員としてスポーツの環境整備と価値の向上に努めてきた。そこをしっかり評価してくれる方もいるが、幾つかのクラブは毎年薄氷を踏む思いで経営の厳しさ難しさに直面している。なぜだろう。

やはり、日本人の心の中には、プロスポーツは「興行」であり、「道楽」の産物という見方が深く根を張っているのだろう。「道楽」だから支援の優先順位は低くなるし、下手に支援して「そんな余裕があるのか」と株主、従業員の双方から突き上げられたくもない。そんな評価を根底から変える努力がまだまだ私たちに足りないのだろう。

プロ選手に子供たちは未来の自分を重ね、少しでも近づこうと懸命に汗を流す。そこにはすべての参加者に共通のルールがあり、公平であるがゆえに、悔し涙にくれながらでも結果を受け入れる。テレビゲームのようにリセットはできない。責任を自ら引き受け、時には仲間を助け、仲間に助けられながら友情や忍耐を学ぶ。スポーツならではの価値だろう。

 スポーツが発するフェアプレーやリスペクトの精神は健全な青少年育成の根幹だ。日本サッカーの父、クラマーさんは「サッカーは子供を大人にし、大人を紳士にする」と語られた。スポーツにはまだ十分に理解されていない力がある。

厳しい経営環境でも企業の財布が緩むものとして「エコ」がある。地球の温暖化は大変な問題だし、自然環境の保全に多くの企業が支援をしているのは尊いことである。しかし、将来を担う子供たちにとってスポーツもまた必要不可欠な“環境”だと私は思う。

枯れてしまった夢から青い新芽は吹かない。スポーツという環境だって危機にひんしている。どんな形であれ、スポーツへの参画は紛れもない社会貢献。国もそういう評価軸を持って、企業や人を支えるスポーツ政策を打ち出してほしい。

【所要時間:15分】スポーツに興味のない人にも理解されること