■(選球眼/浜田昭八)「出来高払い」プロ本来の姿
広島・石井琢(40)。プロ22年目の内野手。今季は74試合に出て47安打、20打点、打率3割1分8厘。先月24日の契約更改で、来季の年俸は200万円アップの2700万円(金額は推定、以下同じ)になった。 広島・前田智(39)。21年目、今季は主に代打で68試合に出て17安打、19打点、2本塁打、打率2割2分1厘。新年俸は200万円ダウンの7000万円。 契約更改には不思議がいっぱいだ。石井琢、前田智のケースばかりでない。「グラウンドにカネは落ちていない」と感じることがあるし、「年功序列の世界でないはず」と思うこともある。 かつては2億円前後の高給を取り、キャリアも似通った石井琢と前田智だが、今では年俸に差がついた。元横浜の石井琢は力が落ちてから移籍した。広島では控えに回ったから、年俸の大幅ダウンもやむを得ない。 前田智は度重なる故障が響き、レギュラーからはずれた。それでも球団は勝負強い打撃と根強い人気に、相応の年俸をはずんだ。ただ、今季の成績だけを切り取って考えると、石井琢との年俸の差は理解し難い。 契約更改たけなわ。毎年のことだが、一部選手の浮世離れした高い年俸に首をかしげたくなる。優れた技能に対し高いカネが払われるのに異論はない。だが、年俸の減額制限や複数年契約に守られる不振選手が多いのには納得がいかない。 この時期はプロゴルフの賞金王争いと重なる。石川遼や池田勇太でも来季、もし振るわないと収入は激減する。賞金を取り合うシステムは明快。プロの厳しさと面白さを存分に見せてくれる。 球界もかくあるべきだろう。その年の成績だけで新人が“年俸王”になり、翌年に転落することもあるのがプロとして本来の姿。一部の球団で基本年俸を抑え、出来高を高くする動きがある。選手側の反発が予想されるが、このシステムが健全に育つことを願う。
ゴルフは選手生命長いけど、シビアな世界だ。
【所要時間:20分】
後輩のガス抜きでワタル@新橋で飲む。100円ハイボールはサラリーマンの味方である。